食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

日清オイリオ ライト&クリア製法

クセのない風味で劣化しにくい油の製造方法についての特許です。日清オイリオでは「ライト&クリア製法」と呼んでいるようです。

近年、風味の強い油が調味料としてもてはやされています。もこみちさんのオリーブオイルなどがそうです。ですが、そういった油はあくまで傍流、製油業界の王道は純度の高いクリアな風味の油です。

 

食品工業が発達する以前は、風味の強い油、すなわち不純物の多い油しか造ることができませんでした。不純物の多い油は、酸化しやすい、低温で濁る、色が濃いなどの欠点がありました。また油の風味そのものが嫌われる場合も多く、純度の高いクリアな風味の油が高品質とされてきました。そうして製油業界は効率よく純度の高い油を精製できるように発達してきたのです。

今回紹介する「ライト&クリア製法」はその延長線上の技術です。

 

日本で消費される食用油脂の約70%は、なたね油と大豆油です。いわゆるサラダ油の主原料はなたね油と大豆油です。なたね油と大豆油には本来、青臭い豆のにおい(戻り臭)があります。この戻り臭は、油の酸化の初期過程で生じるアルデヒド類、ケトン類などが原因です。こうした油の酸化によって生じた化合物は、単に風味が悪いだけではありません。酸化生成物にはさらなる油脂の酸化を促進する作用があり、酸化生成物を取り除かないと加速度的に酸化が進んでしまいます。

 Steam Distillation Apparatus

このようなにおい成分を取り除く方法に減圧水蒸気留脱臭処理があります。この方法は油脂の脱臭方法として一般的な方法で、具体的には減圧下で油脂に水蒸気を吹き込み水蒸気を回収します。すると、におい成分が水蒸気と共に油脂から取り除かれます。

発明者はさらに活性炭フィルターを開発し、これを用いてろ過することでにおい成分を吸着させて取り除きました。

 

この特許にみられるように、製油業界ではより純度の高い油を効率よく造る技術を競い合っています。「海外の食べ物は油がしつこくてもたれる」なんて経験があるかもしれません。日本の油が劣化しにくくしつこくないのは、油脂メーカーの高い精製技術のおかげと言えます。

 

【特許番号】

P3598281

【名称】

食用油脂製造方法及び食用油脂脱臭方法

【特許権者】

日清オイリオグループ株式会社

【課題】

加熱臭が少なく、戻り臭の発生が抑制され、風味の優れた食用油脂を製造することのできる食用油脂製造方法及び食用油脂脱臭方法を提供する

【請求項】

減圧水蒸気蒸留脱臭処理を行った食用油脂(動物油脂を除く)を活性炭によりろ過する工程を含むことを特徴とする食用油脂製造方法。