食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

キューピー 人工イクラの技術で玉子を造る

キューピー「冷凍やわらかたまご」という商品名で販売されています。この商品は解凍すると形のきれいなポーチドエッグとなり、中の黄身が半熟になっているというものです。中の黄身は、本物の玉子と異なり加熱しすぎても固くならずとろりとした液状を保つこ…

ゴキブリがどこで混入したかを推定する技術

ペヤングのニュースがテレビやインターネットを騒がせています。とうとう商品の全回収、生産停止、という事態に至りました。食品業界において後世まで残る大きな事例となることでしょう。 ペヤング関連の報道のなかで、まるか食品はゴキブリが混入した商品を…

日立造船 デジタル技術の進化は、ちりめんじゃこからフグを取り除く

日立造船による画像処理技術を駆使した異物選別機についての特許です。 先日、大分県のスーパーで販売されていた豆アジに毒のあるクサフグが混入していたとしてニュースになりました。その後、横浜市のスーパーでも同様に豆アジに有毒のシロサバフグの混入す…

味の素 訴訟になったアスパルテーム

味の素のパルスイートなどに使用されている人工甘味料アスパルテームに関する特許についてです。発明は誰のものか?を考えるうえで興味深い特許です。 2014年のノーベル物理学賞で青色LEDに関して天野氏、赤崎氏、中村氏の3名が受賞しました。中村氏に関して…

広島県 凍結含浸法でやわらか介護食

介護食、病院食への利用で話題の凍結含浸法に関する特許です。ペクチナーゼを食材の内部に浸透させて作用させることで、野菜を噛まなくても歯茎で潰せる柔らかさにすることができます。 画像引用:凍結含浸法の技術解説(広島県) 食べ物を噛む力が弱くなっ…

ニッスイ 唐辛子でダイエットに成功したブリ

養殖ブリに唐辛子を食べさせることで、体脂肪を減らすことができる養殖方法に関する特許です。写真のブリはニッスイが養殖している黒瀬ブリです。 魚にはマグロのような赤身、タイのような白身があります。では、ブリは赤身でしょうか?白身でしょうか?これ…

アスコルバイオ 酸化で減衰しないビタミンC

安定型ビタミンC誘導体に関する特許です。岡山大学名誉教授の山本氏が発見し、林原社によって量産化されました。 ビタミンCはコラーゲンの構造を作るためにに必須の物質です。不足すると壊血病を引き起こす、人間が生きていくためには摂取することが欠かせな…

明治 地道な研究に支えられたヨーグルトR-1

明治ヨーグルトR-1に関する特許です。R-1はインフルエンザの予防になると、NHKの番組で放送されたことで話題になったことをきっかけに大ヒットした商品です。 「ヨーグルトは体にいい」というのは、大部分の人が共通に持っているイメージです。しかし「具体…

明治 ホエイプロテインを液中に安定的に分散させる

ホエイプロテインを高濃度で安定的に水中に溶解(分散)させる方法に関する特許です。明治の「スポーツミルク」に使用されている技術だと推測します。 筋トレやスポーツをした後に飲むプロテインの粉末、すごく飲みにくいものです。水や牛乳に入れてシェイク…

味の素 成形肉を造る酵素トランスグルタミナーゼ

畜肉や魚介類の結着などに使われる酵素トランスグルタミナーゼについての特許です。この酵素は味の素社から「アクティバ」という商品名で業者向けに販売されています。 食肉加工業者は、アクティバを使って下の写真のような成形肉が作るなどしています。 ト…

秋田県立大学 レタスのカリウム含量を減らす栽培法

カリウム含量を低減した野菜を栽培する為の肥料と栽培方法についての特許です。 現在、日本には人工透析を必要とする腎臓病患者が約30万人います。高齢化の進行などに伴い、患者数は今後も増加の見込みです。あるいは人工透析をしていなくても、症状が重篤に…

ロッテ Fit'sはコミュニケーションツールとして設計されている

ロッテのガム「フィッツ」の包み紙についての特許です。 ロッテのフィッツはユニークなCMが話題となったヒット商品です。 プロモーションがキャッチーでしたが、ガムの柔らかい食感や、今までにない斬新な包み紙も面白いものです。 この商品に感じたのは、ロ…

味の素 グリシンの睡眠改善効果は偶然に発見されたのか?

味の素の睡眠改善用サプリメント「グリナ」についての特許です。 グリナは睡眠を改善する為の健康食品で、アミノ酸のグリシンを主成分としています。グリシン自体は日持ち向上剤などの用途で広く様々な食品に使用されています。この特許はグリシンの睡眠改善…

ユーグレナ ミドリムシを食べてプリン体吸収を抑える

ミドリムシ(ユーグレナ)の健康機能性についての特許です。 最近、ミドリムシを使った食品が増えてきました。 私が初めて見かけたのは、タブレットの錠剤だった気がします。その後、ミドリムシクッキーか、ミドリムシ青汁を試しました。 最近では、大手メー…

ポッカ 缶入りコーンスープの風味劣化を抑える

ポッカの缶入りコーンスープに関する特許です。 一般のお客様は、加工食品を「長期保存しても味が変わらないもの」と思うことが多いようです。 しかし実際には、作りたてと賞味期限ぎりぎりではかなり味が異なります。 例えば戸棚の奥でストックしておいたカ…

大塚食品 スゴイダイズのスゴイ技術

大塚食品の大豆飲料「スゴイダイズ」についての特許です。 スゴイダイズを初めて飲んだ時の驚きは今でも覚えています。 大豆の風味がやたら強く、粘性がドロッとして濃いからです。他の豆乳とは明らかに違います。 品質で明らかに差別化されたスゴイダイズは…

ワイエスピー 大豆を水に浸さなくてよい豆乳の新製法

大豆を水に浸しておく工程(浸漬工程)を不要にした豆乳の製造方法についての特許です。 ワイエスピーという豆腐の製造機械メーカーがこの製造方法を開発し、2013年のものづくり日本大賞で"内閣総理大臣賞"を受賞しています。 従来の豆乳の製造工程はざっく…

サントリー「特茶」(2) ケルセチン配糖体の減衰を抑える

サントリー「特茶」について前回に引き続き特許文献を紹介します。 前回は「特茶」に使用されているケルセチン配糖体について解説しました。今回はこのケルセチン配糖体の安定性に関する公開特許広報*1を紹介します。 ケルセチンやケルセチン配糖体は抗酸化…

サントリー「特茶」(1) 吸収率の高いケルセチン配糖体

先日発売された「サントリー緑茶 伊右衛門 特茶」についての特許を2回にわたって紹介します。特茶はケルセチン配糖体の体脂肪を減らす効果が認められ、特定保健用食品(トクホ)を取得しています。 まずは特茶に使用されているケルセチン配糖体がどのような…

ホクト きのこの包装フィルムの秘密

ホクトのぶなしめじの包装袋についての特許を紹介します。きのこの鮮度を長期間保持できるすごい樹脂フィルムです。 市販のキノコのほとんどは、樹脂フィルムで"密閉"されたパックで販売されています。ここで注意したいのは、樹脂フィルムはわずかながら気体…

キリン「すぅーっと茶」 副交感神経を働かせてリラックスさせるユーデスモール

キリンの「からだ想い茶 すぅ~と茶」についての特許を紹介します。 この商品はユーカリの精油成分を添加した紅茶飲料です。ネーミングから察するに花粉症の鼻がすぅーっとすることを狙ったのではないかと推測します。薬事法の関係でメーカーは肯定しないと…

雪印メグミルク「こんがり焼けるとろけるスライス」は何故こんがり焼けるのか?

「雪印こんがり焼けるとろけるスライス」の公開特許公報について紹介します。この商品は、短時間で焦げ目がついてこんがり焼けるスライスチーズです。 この商品がなぜ短時間でこんがり焼けるのでしょうか? スライスチーズをパンに乗せてオーブントースター…

東洋ライス 研がなくていい、だけじゃない無洗米「金芽米」

前回まで3回にわたって無洗米の製造技術について紹介しました。今回は現在のところ最も進化した無洗米、東洋ライスの「金芽米」について紹介します。 従来の無洗米は、通常の精白米と違って研がなくてもよい「簡便さ」が利点でした。金芽米は「簡便さ」に加…

無洗米の製造方法をめぐる戦い3 サタケはタピオカで米をとぐ

前々回、前回にわたって、無洗米では後発である東洋精米(東洋ライス)の特許について紹介しました。今回はパイオニアであるサタケの技術について紹介します。 サタケは加水方式での無洗米製造技術を進化させ、NTWP方式という方法を確立しました。 加水方式…

無洗米の製造方法をめぐる戦い2 東洋ライスは水を使わずに米をとぐ

前回、東洋精米(現・東洋ライス)*1の「洗い米特許」について紹介しました。この特許は、同業のサタケによる無効請求により無効化されました。 しかし、東洋精米は「洗い米特許」の加水方式を超え、一歩先の技術へ進んだのです。 まず、サタケの方法や東洋…

無洗米の製造方法をめぐる戦い1 東洋精米「洗い米特許」

無洗米に関する特許を3回にわたって紹介します。無洗米の製造装置を販売する競合2社:東洋精米とサタケの争いを追っていきます。 無洗米はご存知の通り、研がずに炊けるお米です。精白米の表面に残った糠をあらかじめ除去しているので、水洗いなしで研いだの…

ハウス食品 イグノーベル賞をとった玉ねぎ研究の特許について

2013年のイグノーベル賞が発表されました。日本人の受賞は7年連続だそうです。ユニークな研究が多く、とても面白いです。 受賞した研究全体は2013年イグ・ノーベル賞の研究をひと通り見てみました。-蝉コロンがわかりやすいです。 そのうち食品に関係する研…

日清製粉「コツのいらない天ぷら粉」 湿熱処理小麦粉で天ぷらをサクサクに揚げる

日清製粉の「コツのいらない天ぷら粉」についての特許です。小麦粉に湿熱処理をしてグルテンを変性させているので、テキトーに作ってもサクサクした天ぷらを揚げることができます。 前回、家庭用の揚げもの用ミックス粉市場の最先端というべき「レンジでチン…

昭和産業「レンジでチンするから揚げ粉」 電子レンジでは澱粉がカリッとしないので

昭和産業「レンジでチンするから揚げ粉」についての特許です。鶏肉に粉末をまぶして電子レンジ加熱するだけで唐揚げを作ることができる唐揚げ粉で、ヒット商品になりました。 一般的に唐揚げは、小麦粉などの穀粉・片栗粉などの澱粉からなる衣を調味した肉に…

キッコーマン トマトで醤油をつくる

トマトを発酵させてつくる醤油様調味料についての特許です。 昨今、食物アレルゲンへの関心が高まっています。食品各社では、商品の使用アレルゲン表示を充実させる、特定のアレルゲンを含まない商品を開発する、といった対応を進めています。そうした対応は…