食品特許を読みあさろう

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不二製油 大豆たんぱくの大豆臭を低減する

大豆臭が低減された大豆タンパクの製造方法についての特許です。

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大豆タンパクはソーセージ・ハンバーグ・シュウマイなど、ひき肉を使った加工食品に広く使用されています。また、プロテインやカロリーメイトなど栄養機能食品にも使用されます。

大豆たん白は安価です。さらに同じ大豆たんぱくといっても、ゲル化するもの、肉のような食感のもの、様々な性質のものが、各種の用途向けに原料化されています。とても魅力的な食品素材なのです。

しかしながら、大豆たん白には特有の大豆臭があります。使用量を増やすために、大豆臭のマスキングを考えなければいけない場合もあります。例えば、プロテインの粉末には大豆たん白の臭いが強く感じられ、飲みにくさの原因になっています。因みにプロテイン粉末の臭いは、コーヒー牛乳やココアで割ると大豆臭をマスキングされて飲みやすくなる気がします。

  

本文献では、大豆タンパクをpH2.9~3.4の酸性下で加熱することで大豆臭が低減できると述べています。大豆臭の原因はアルデヒドやケトンなどのカルボニル化合物と言われています。カルボニル化合物はたん白質と相互作用し吸着されています、酸性下では相互作用が弱まり加熱すると水蒸気とともに気化して取り除かれるようです。

カルボニル化合物は大豆臭だけでなく、他の穀物などの臭いにも関与しています。本文献の方法は大豆タンパク以外のものでも臭いの低減に応用できるかもしれません。

 

【特許番号】

P5058427

【名称】

大豆蛋白の製造法

【特許権者】

不二製油株式会社

【請求項】

PDI80以上を示す低変性脱脂大豆に由来する大豆蛋白スラリーあるいは大豆蛋白溶液に燐酸もしくは有機酸又はそれらの塩を添加し、pH2.9~3.4の酸性下で、加熱温度が100~130℃で蒸気吹き込み式加熱により加熱し、その後に、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物を添加し、pH6.0~8.0に中和した後に2回目の加熱を110~150℃で蒸気吹き込み式加熱により行った後に、噴霧乾燥を行うことを特徴とする大豆蛋白の製造法