食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

大日本印刷 バリア性の高い透明アルミ蒸着フィルム

保存中の食品を劣化させる大きな要因として酸化が挙げられます。酸化による劣化を防ぐために、酸素を透過しないフィルムが必要となります。ところが、一般的な樹脂ポリエチレン、ポリプロピレンなどは酸素を透過します。そこで、酸素を通さない素材としてアルミやエバールなどが使われます。アルミを使う場合には、アルミ箔を樹脂層ではさむ場合と、アルミを樹脂フィルムに蒸着させる場合があります。

アルミ蒸着フィルムにはポテトチップスの袋のように光を透過しないものもありますが、本文献のように中身が見えるように蒸着層を薄くして透明になっているものもあります。この透明アルミ蒸着フィルムは、透明でない蒸着フィルムに比べて酸素透過性がやや高くなってしまいます。ですので、中身を設計する開発者の立場としては、透明でないフィルムを使用したいと思っているものです。とはいえ、パッケージデザイン上、透明フィルムが必要な場合もあります。

そもそも光を透過するほどアルミ層が薄かろうと「きちんと蒸着できていれば酸素を透過しないのでは?」と疑問に思っていました。印刷などの加工によって蒸着層にクラックが入ることで酸素バリア性が著しく低下してしまうそうです。本文献の方法を使用すれば、加工がしやすいため酸素バリア性の低下させるクラックが生じにくいようです。

こうした技術によって、食品の包装はより自由に設計できるようになります。デザイン性向上、環境負荷低減といった効果が見込まれます。

 

【特許番号】

P5084983

【名称】

バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材

【特許権者】

大日本印刷株式会社

【課題】

透明性、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性等に優れ、更に、良好な接着性を有し、ラミネ-ト適性に優れ、かつ、印刷加工、ラミネ-ト加工、製袋加工、その他等の後処理加工に対し優れた適性に有し、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装するに有用なバリア性フィルムおよびそれを使用した積層材を提供する

【請求項】

ヘイズ値が2.5%以下であり、かつ、表面粗さが35nm以下である基材フィルムの一方の面に、金属または金属酸化物の蒸着膜を設ける前に予めコロナ処理により、静および動摩擦係数が0.4μ~0.7μからなる表面処理面を設け、

他方、上記の基材フィルムの他方の面に、金属または金属酸化物の蒸着膜を設ける直前であって、インラインで、酸素ガス、または、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用し、プラズマ放電電力として、40W・分/m2 ~100W・分/m2 の範囲、また、グロ-放電圧力として、0.5~5.0×10-2mbarの範囲のプラズマ処理条件でプラズマ処理し、基材フィルムの表面に付着している水分や塵が除去され、更に、その処理面に薄くて平滑性の高い酸化被膜が形成されると共に水酸基(-OH基)からなる官能基が形成されているプラズマ処理面を設け、しかる後、上記のプラズマ処理面の上に、金属または金属酸化物の蒸着膜を設け、そして、上記の表面処理面の面に、強度を有して強靱であり、かつ耐熱性を有する樹脂のフィルムを積層し、他方、上記の金属または金属酸化物の蒸着膜の面に、ヒ-トシ-ル性樹脂のフィルムを積層すること