食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

ユーグレナ ミドリムシを食べてプリン体吸収を抑える

ミドリムシユーグレナ)の健康機能性についての特許です。

最近、ミドリムシを使った食品が増えてきました。

私が初めて見かけたのは、タブレットの錠剤だった気がします。その後、ミドリムシクッキーか、ミドリムシ青汁を試しました。

最近では、大手メーカーがミドリムシを素材として使用し始めました。協同乳業からユーグレナヨーグルト、UHAからユーグレナガム、ユーグレナのど飴などです。

このように新規な健康食品用素材として、ミドリムシは注目されています。

では、ミドリムシを供給しているのは誰なのでしょうか?

それは株式会社ユーグレナという東京大学発のベンチャー企業です。2012年に東証マザーズに上場し、直近の業績は好調のようです。

 ミドリムシカンパニー euglena

すごいと思うのは、健康機能素材をゼロから開発したところです。

最初、健康機能素材としてのミドリムシは次のような状況でした。

  • 素材の生産方法が確立されていなかった。
  • 健康機能素材として全く認知されていなかった。(食品としての認知もなかった。)

この2つの問題を解決したわけです。

 

現在は、ミドリムシを次のようなメリットがあるとしています。

そして、この2つに加えて、「健康機能性がある」ということを研究しているようです。発明者は、ミドリムシプリン体の吸収を抑制してくれる効果がある、としています。ミドリムシを食べると、痛風予防や痛風の症状軽減になる、と述べているわけです。(ただし、特許を取得しているからといって、本当に効果があるかどうかはわかりません。特許文献を真に受けてはいけないのです。)

また特許文献からは、特許取得を知財の専門家がサポートしていることが読み取れます。

例えば、、、

大学の研究者は、特許申請する際に学術論文を投稿する際のようなきっちりした証拠をそろえようとする場合が多いのです。しかし、この特許の実施例は試験管内でプリン体ミドリムシ加工品に吸着することを示しているだけで、投稿論文にはなりえないものです。特許取得を目指すなら、この実施例のような簡単な実験を短時間にこなした方が効率が良いのです。

研究が進めば「プリン体の吸収を抑える」といったような具体的な健康機能性をアピールできるようになるかもしれません。

 

以上のようにユーグレナ社はミドリムシを夢のある食品素材に変えたスゴイ会社です。

今後もさらにミドリムシの価値を高めていくことでしょう。

ミドリムシがヒットするのだから、自分たちも新しい健康機能素材を開発できるはずだ!と勇気づけられた業界関係者も多いのではないでしょうか?

 

ただし今後のミドリムシについて少し冷静に見てみようと思います。

ミドリムシと同じような微細藻類は、他にも健康機能素材になっています。クロレラスピルリナ、ドナリエラなどです。定着はしていますが、健康機能素材の中ではそれほどメジャーなものではありません。コラーゲンやカテキンのような地位を獲得できるかは疑問です。

また、日本国内では「ミドリムシ」というキャッチーな名前がヒットの要因になったことでしょう。しかし海外では名前のキャッチーさが利用できないと思われます。『ユーグレナ社が中国に進出した』という新聞記事がありましたが、日本と同じやり方は通用しないことでしょう。

日本でミドリムシが一過性のブームで終わってしまうと、企業としての成長も止まってしまいます。

 

今後、ユーグレナ社がどのような戦略をとるのかワクワクしながら注目したいと思います。

 

【特許番号】

P4865838

【名称】

プリン体吸収抑制組成物

特許権者】

株式会社ユーグレナ

【課題】

毎日の食事により、その飲食品中から摂取され、体内に取り込まれるプリン体の、その腸管からの吸収を抑制するための組成物であって、効果が高く、且つ、健康食品、サプリメントなどとして、安心して摂取することができるものを提供する

【請求項】

ユーグレナを高圧破砕処理する工程と、前記高圧破砕処理より得られた破砕物から、可溶性成分を除去する工程と、を行うことにより得られたユーグレナ加工物を有効成分とする、プリン体吸収抑制組成物。