食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

小川香料 ハマナスの抽出物で香料の劣化を防ぐ

賞味期限が長い加工食品は、製造されたばかりのものと賞味期限に近いものとで味に差がないと思われてることが多い。カップ麺、ポテトチップス、チョコレート、缶詰などなど、製造されてから日数が経過すると味が変わっていきます。

味が変わる理由の一つに光劣化があります。弱い光でも長期間あびると化学反応が進み、味が変わります。だから多くの食品フィルムにはアルミが使われ、光の透過を防いでいます。

Rosa rugosa Tokyo.JPG

さまざまな香気成分も光の影響を受け、劣化していきます。本文献では、ハマナスなどの植物の抽出物が少量でも香料の光劣化を防ぐ効果があることが書かれています。ハマナスの色素が紫外線を吸収するのがイイみたいです。トコフェロール(ビタミンE)などの酸化防止剤と同じ原理です。

ただし、わざわざハマナスの抽出物を使わなければならないほどの効果は得られていないようで、この特許自体の価値はほとんどないと思います。*1

ですが、さまざま植物の抽出物から効果のあるものを探したとのことです。それだけ香料の劣化を防ぐ方法にニーズがある、ということが窺い知れます。

特許文献を読むと、業界のニーズを知ることができるというメリットもあるのです。

 

【特許番号】

P5091431

【名称】

香味又は香気劣化抑制剤、及び香味又は香気劣化抑制方法

【特許権者】

小川香料株式会社

【課題】

従来技術における天然物由来の劣化抑制剤については、一般に安全性が高く推奨できるが、その一方で、香味又は香気の劣化抑制効果を奏するためにはある程度多量に使用する必要があり、その結果、香味又は香気劣化抑制剤自体が有している味や匂いが、香料あるいは香料成分を含む飲食品、口腔衛生剤、香粧品そのものの味や香りに悪影響を与えるなど実用性に欠ける点があった。従って、香料あるいは香料成分を含む飲食品、口腔衛生剤、香粧品に添加した場合に安全性が高く、本来の香味又は香気に影響を与えることなく、少量の使用で十分な香味又は香気の劣化抑制効果を示す新たな天然物由来の香味又は香気劣化抑制剤が要望されていた。

【請求項】

ハマナスを水および/または極性有機溶媒で抽出して得られる抽出物を含有する香味又は香気劣化抑制剤が0.005~5重量%添加されてなることを特徴とする香料。

ハマナスを水および/または極性有機溶媒で抽出して得られる抽出物を含有する香味又は香気劣化抑制剤が1~100ppm添加されてなることを特徴とする飲食品。

*1:出願のまますべてが特許化されてたら強力な特許になったと思われますし、だからこそ審査段階での他社の情報提供が多かったのでしょう。。