食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

明治 ホエイプロテインを液中に安定的に分散させる

ホエイプロテインを高濃度で安定的に水中に溶解(分散)させる方法に関する特許です。明治の「スポーツミルク」に使用されている技術だと推測します。

筋トレやスポーツをした後に飲むプロテインの粉末、すごく飲みにくいものです。水や牛乳に入れてシェイクして飲むのが一般的かと思います。よく振っても粉が溶けないので口の中でザラついて、プロテイン特有のにおいと合わさってひどい味になります。その不味さはプロテイン初心者の大きなハードルになっています。

タンパク質、特に粉末に加工されたタンパク質を液体に安定的に分散させておくことは難しいものです。
発明者はホエイタンパク質を特定の温度以下で添加し混合し、得られた調合液を高温殺菌した後に均質化することによって、高濃度でもゲル化や凝集などを起こすことなく安定的に分散できることを見出しました。乳業メーカーの強みを活かした技術です。

この技術を使用して、ホエイプロテインが強化された乳飲料「スポーツミルク」を開発したのだと推測します。
「スポーツミルク」を実際に飲んでみると、プロテインが均一に分散しているのでザラザラした粉っぽさがなく、普通の牛乳と同じ感覚で飲むことができます。粉末のプロテインの不味さを、よくぞここまで美味しくしたものだ!と驚きました。素晴らしい技術です。
これなら従来の粉末プロテインを飲むことの手間や心理的な抵抗感を払拭できることでしょう。特許を読むと病院の流動食を想定しているようです。いずれにしろ派手に売れる性質の商品ではないでしょうが、どのように浸透させていくのか、マーケティング施策も観察していきたいなぁと思います。

【特許番号】
P5384333
【名称】
ホエイタンパク質を高濃度で含む液状栄養組成物およびその製造方法
特許権者】
株式会社明治
【課題】
ホエイタンパク質を従来よりも高濃度で含む液状栄養食品の開発
【請求項】
ホエイタンパク質を53℃以下の温度条件下にて添加して混合して、タンパク質と、脂質と、糖質とを含む調合液を得、該調合液を高温殺菌した後に均質化することにより得られる液状栄養組成物であって、
 タンパク質30~100mg/mlと、脂質20~100mg/mlと、糖質50~350mg/mlとを含んでなり、かつ組成物の熱量が1kcal/ml以上で、pHが4~8であり、
 前記タンパク質に含まれるホエイタンパク質が、組成物全体に対し8mg/ml以上の濃度で含まれ、
 前記タンパク質にホエイタンパク質を30重量%以上の割合で含み、かつ 液状栄養組成物の平均粒子径が1μm以下であることを特徴とする、液状栄養組成物。