太陽化学 乳化剤でワサビや唐辛子の辛味をマスキングする
マスタードオイルはアリルイソチオシアネートを含みます。アリルイソチオシアネートは、からし(マスタード)やわさびの辛味成分であり、強い静菌作用があります。そのため食品の保存性を高めるために使用されることがあります。
唐辛子抽出オイルはカプサイシンを含みます。カプサイシンには発汗作用や生理活性作用があり、痩身効果があるとされています。
どちらも強い辛味があるため、使用しにくい場合があります。
マスキングとは、好ましくない味を感じにくくすることです。文献によると、乳化剤ポリグリセリン脂肪酸エステル(通称ポリグリ)の一種がこれらの辛味をマスキングする作用があるようです。
おそらく、辛味成分分子を乳化剤分子で覆うことで、舌に触れなくさせているのではないか、と推測します。
私たち食品開発者は、好ましくない風味をマスキングする手段を欲しています。ですので、これは興味深い知見です。
ところで、本文献にはある種の苦味成分もマスキングできることが記載されています。しかし、苦味に関しては特許範囲から除外されています。審査過程で苦味に関する部分が拒絶され、最終的にこのような請求項になっています。特許成立前の公開広報をたどってみると、出願の際の証拠の揃え方を学ぶことができます。
【特許番号】
P5100924
【名称】
マスキング剤
【特許権者】
太陽化学株式会社
【課題】
苦味等の不快な味の成分を含有した食品、化粧料又は経口用医薬品組成物において優れたマスキング作用を示し、安全かつ安定で、また食品に対してはその味を変えることなく使用できるマスキング剤及びこれを配合した、食品、化粧料又は経口用医薬品組成物を提供する
【請求項】
HLB5以下のヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと、マスタードオイル又は唐辛子抽出オイルからなることを特徴とするマスタード又は唐辛子に由来する辛味低減食品。