食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

ビーエイチエヌ ツバキの絞りかすを食べると痩せる?

飼料や肥料にしたり、廃棄するしかない素材から健康機能成分を見つけて有効利用できるようにする、という研究は大学、企業、さまざま行われています。

本文献ではツバキ油の脱脂粕を対象としています。脱脂粕の水溶性成分には脂肪吸収阻害、蓄積抑制、燃焼促進の効果があると述べています。本当なら夢の食品素材と言えるかもしれません。

脂肪酸から脂肪酸アシルCoAへの変換

特許取得してるから信憑性が高いのでは?と思うかもしれません。ですが、特許は、学術論文と比べると科学的な厳密性をそれほど要求されません。

本文献では培養細胞とマウスで有効性を検証しています。ヒト臨床はしていません。

また、マウスの餌に5%ものツバキ脱脂粕水抽出物を加えて、脂肪蓄積を調べています。人間の食事が1食あたり500gとすると、毎食25gもツバキ脱脂粕水抽出物を摂取していることになります。この抽出物はサポニンを多く含んでいる、ということです。かなり苦くエグい味であると想像できます。

Solanine chemical structure.png

よって、摂取するのは錠剤やカプセルになります。ですが、ネイチャーメイドのマルチビタミン(かなりでかい錠剤)ですら1粒約1gです。錠剤やカプセルでも毎食25gの摂取は現実的に困難です。

この結果では学術論文で「効果あり」と認められることはありません。せいぜい「効果があるかもしれない」というレベルです。

特許というのはそれでも取得できるのです。特許を取るためには学術論文とは異なる検証を行った方が効率的です。

 

これは学術論文と特許はどちらが優れている、劣っているという話ではありません。

特許制度の目的は学術論文とは異なるので、審査基準が異なるのは当然です。

特許取得には、特許取得に特化したノウハウが必要になるのです。

 

【特許番号】

P5066725

【名称】

脂肪吸収阻害剤、脂肪蓄積抑制剤又は脂肪燃焼促進剤

【特許権者】

ビーエイチエヌ株式会社

【課題】

食生活に簡便に組み込むことが可能であり、食事由来の脂肪の吸収を阻害し、生体内における脂肪蓄積を抑制し、あるいは体脂肪の代謝若しくは燃焼を促進し得る素材を開発するとともにこれを産業上有効活用できる態様の組成物を提供する

【請求項】

ツバキ科ツバキ属に属するツバキ(Camellia japonica)であって、ヤブツバキ、ユキツバキ、リンゴツバキ、ホウザンツバキ、ヤマツバキ、山茶花及びヤクシマツバキからなる群から選ばれる前記ツバキの実及び/又は種子の脱脂粕の水抽出物である水性成分を有効成分として含有してなることを特徴とする脂肪吸収阻害剤、または脂肪蓄積抑制剤、または脂肪燃焼促進剤(但し、抗肥満用途を除く。)

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