食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

花王 エコナの参入障壁

ジアシルグリセロールといえば花王のエコナの油のことです。エコナの安全性について議論はありますが、ここでは主旨と異なるので触れません。
エコナ関連の特許戦略はすごく面白いのです。花王はジアシルグリセロール関連で多数の特許を取得し、参入障壁を築いています。
特許の期限は出願から20年ですが、関連する特許を出願時期をずらして取得することで、実質的に30年を超えて参入障壁を維持できます。例えば、モノ→製造方法→アプリケーションといったように時間差で特許を取得していきます

この文献はジアシルグリセロールのアプリケーションに関するものです。参入障壁維持の一環であると推測します。先行文献と合わせて読み込むことで、参入障壁の維持の仕方を勉強することができます。

ちなみにこのような時間差特許は「雪見だいふく」が有名です。

【特許番号】
P5100974
【名称】
油脂組成物
【特許権者】
花王株式会社
【課題】
従来のジアシルグリセロール高含有油脂組成物を用いた場合、保存条件や調理条件によっては、調理品の外観、風味の点で、必ずしも十分に満足いくものが得られないケースが出現することが、今回明らかとなった。すなわち、ジアシルグリセロール含量の高い油脂組成物を用いて調理すると、メニューによっては、調理品にくすみが生じて外観が損なわれたり、調理品が本来有する好ましい風味が劣化してしまう場合が発見された。また、露光条件で保存した後に調理すると、その傾向が顕著となる場合がある。
【請求項】
次の(A):(B):(C)= 100:0.01~4.7:0.2~8 を含有する油脂組成物。
(A)1種又は2種以上の原料油脂を、高圧分解法と酵素分解法を組み合わせて加水分解して脂肪酸を製造し、当該脂肪酸とグリセリンをリパーゼを用いてエステル化することにより得られた油脂であって、構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸含量が80質量%以上であるジアシルグリセロールを15質量%以上含有し、かつ油脂を構成する全脂肪酸中の共役不飽和脂肪酸含量が1質量%以下で、トランス不飽和脂肪酸含量が0~3.5質量%であり、色相(10R+Y)が30以下である油脂
(B)植物ステロール
(C)植物ステロール脂肪酸エステル