キッコーマン トマトで醤油をつくる
トマトを発酵させてつくる醤油様調味料についての特許です。
昨今、食物アレルゲンへの関心が高まっています。食品各社では、商品の使用アレルゲン表示を充実させる、特定のアレルゲンを含まない商品を開発する、といった対応を進めています。そうした対応は売上や利益への貢献は小さい場合がほとんどですが、社会的な意義は大きいと思います。
醤油はご存知の通り、大豆と小麦を発酵させてつくられる調味料です。小麦、大豆ともに代表的な食物アレルゲンです。アレルゲンフリーの醤油を造ろうという場合には、どちらも使用できません。現状、アレルゲンフリーの醤油代替品として、米や雑穀などから醤油様調味料が造られています。
キッコーマンにトマトのイメージはないかも知れませんが、デルモンテ社(100%子会社)でトマト製品を取り扱っています。ですから、キッコーマンにとってトマトは得意な素材なのです。
発明者はトマトを酵母で発酵させて醤油様の調味料をつくりました。香気成分を分析したところ、醤油特有の香りを有しているとのことです。おそらくトマト以外にも様々な素材を、様々な方法で発酵させてたどり着いたのだと推測します。面白そうな研究ですが、仕事として成果を求められると苦労が多そうだなぁ、と想像します。で、成果の出口のひとつがこの特許なのではないかと。
調べてみましたが、このトマトの醤油は販売されていないようです。特許文献にはアレルゲンフリーが目的と述べられていますが、海外向けの大豆臭さがないトマト発酵調味料としても可能性を感じます。
なんだかんだと書きましたが、単純に「トマトでつくった醤油」を味わってみたいなぁ、と思う次第です。
【特許番号】
P5101727
【名称】
醤油様調味料
【特許権者】
キッコーマン株式会社
【課題】
醤油の味と香りを有したアレルゲンフリーの醤油様調味料を提供する
【請求項】
原料にアレルゲンを含む食物(アレルゲンを含む食物として、日本国内で食品への表示が義務付けられている、あるいは奨励されている食物およびコーデックスで定められている食物)を全く使用せず、トマトを酵母により発酵・熟成させて得られる醤油様調味料。