食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

はくばく 光学センサーを駆使して真っ白な大麦を選別する

黒条線(押し麦などの真ん中に入っている黒い線)のない精白大麦の製造方法についての特許です。

はくばくの「純麦」という製品に使用されている技術です。

麦ごはんには、一般的に押麦が使われます。押し麦とは、精白した大麦粒を平たく潰したものです。押し麦の真ん中には、黒条線とよばれる黒い線が入っています。白米に押麦を混ぜて炊くと、この黒い線が目立ちます。普通は「麦ごはんなんだから黒い線が入っているのが当たり前!」と思ってしまうかもしれません。しかし、人によってはいかにも混ぜ物が入っているご飯を嫌う場合があります。

はくばくは、炊飯用大麦のトップメーカーであり、少しでも多くの人に麦ごはんを美味しく食べてもらいたいと考えたのではないでしょうか?そして「黒条線を除去する」という課題に挑んだようです。

除去する方法は次の通りです。

  1. 外側の殻を除いた麦粒を黒条線に沿って切断する。
  2. 残った黒条線を削り落す。(玄米を白米にするイメージ)
  3. 黒条線が残っているものを光学センサーで検出し、除去する。

 

光学選別をすると言っても簡単ではないでしょう。麦粒が重なりあってしまえば、黒条線が検出されずに除去できなくなります。また、黒条線がセンサーの死角方向に向いてしまえば検出できません。繰り返しセンサーに通せば黒条線の入った麦が検出できる確率は高くなることでしょう。しかし、それでは生産効率が下がります。これを単価がそれほど高くない炊飯用大麦で実現させているのです。光学選別では業界屈指の製造技術を持っていると推測できます。

 

「純麦」では、ファイバースノウという大麦品種を使用しているようです。ファイバースノウは福井県が開発した品種で、麦粒の色が他の大麦よりも白い、という特徴があります。はくばくは、自社の黒条線をとりのぞく技術と合わせて、白さが際立つ製品に仕立てたようです。

 

炊飯用麦は「家族に一人でも嫌いな人がいれば使ってもらえない」と思われます。ですから、幅広いお客様にとってネガティブになりうる要素をいかに取り除くか、ということを他の食品以上に考える必要があるのでしょう。そういった企業文化が「黒条線を光学センサーを駆使して取り除く」という発想を生んだのだと想像します。

 

 

【特許番号】

P3273171

【名称】

黒条線のない麦粒からなる精白麦の製造方法

【特許権者】

株式会社はくばく

【課題】

麦粒からほぼ完全に黒条線が除去されている精白麦を提供する

【請求項】

一次的研削・搗精の後に黒条線に沿って切断された麦粒を原料として使用し、麦粒の糠層、胚乳部の一部および黒条線の一部を研削・搗精除去する(A)工程と、麦粒を一粒ずつ給送しながら、光源から各麦粒に間接光を照射するとともに、黒条線の光量を麦粒の輪郭線その他の部分の光量と比較することにより、黒条線をCCDイメージセンサで検出する(B)工程とを有し、前記(B)工程で検出・選別された黒条線の残留している各麦粒を、前記(A)および(B)工程に、繰り返し通すことを特徴とする黒条線のない麦粒からなる精白麦の製造方法。