大塚食品「マンナンヒカリ」 グルコマンナンでできた人造米
グルコマンナンでできた人造米「マンナンヒカリ」についての特許です。
コンニャクは、蒟蒻芋に含まれる水溶性多糖グルコマンナンにアルカリ(石灰)を加えてで塩析、凝固させたものです。グルコマンナンはヒトには消化できないためカロリーや糖質の摂取制限にもてはやされています。
澱粉や穀粉でできた食品をコンニャクで作ることでカロリーオフをする試みが様々に行われています。コンニャク米もその1つです。
しかし、コンニャクを単に米粒状に成型しても、本物の米とはかけ離れたものになってしまいます。
発明者は、コンニャク米と本物の米の違いを次のようにとらえました。
1)コンニャク臭
2)プリプリとした食感
3)透明な外観
そして、それぞれ次の手段で解決しました。
1)精製されたコンニャクマンナンを使用することで不純物由来のにおいを無くした。
2)澱粉とデキストリンを使用することで米の様な粘り気のある食感を出した。
3)粉末セルロースを使用することで米のような適度な不透明感を出した。
この特許は1993年に出願されました。特許の有効期間は出願から20年ですので、最近期限切れしました。加工度がそれほど高い食品ではないので、他社の参入が予想されます。コンニャクマンナンや澱粉のメーカーであれば大塚食品よりも安く原料を調達できる可能性があります。
また、近年ではコンニャクマンナン以外にもある種の加工澱粉やレジスタントスターチといった吸収されない澱粉素材も開発されています。コンニャクマンナン以外の素材からなる人造米が開発されるかもしれません。
対する大塚食品にはマンナンヒカリの販売で築いてきたブランド力や販売網があります。今後どのような競争が行われるのか、興味深いところです。
【特許番号】
P5118505
【名称】
低カロリー食品素材およびその製造方法
【特許権者】
大塚食品株式会社
【課題】
天然米と差のない食感および外観を呈し、しかも天然米に比べて低カロリーで、高食物繊維の新しい人造米およびその製造方法を提供する
【請求項】
澱粉と、澱粉の重量に対して、0~20倍のデキストリン、0.003~7倍のゲル化剤および0.03~20倍の白濁剤とを含有する乾燥粒状物であることを特徴とする低カロリー食品素材。