食品特許を読みあさろう

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花王【ヘルシアコーヒー(2)】 コーヒー生豆抽出物からカフェインを除去する

花王ヘルシアコーヒーに関する特許について4回にわたって紹介します。

第2回は、コーヒーポリフェノールであるクロロゲン酸類を高含有したコーヒー生豆抽出物の製造方法についてです。

前回、クロロゲン酸類の肥満改善効果について述べました。

「痩せたければ濃いコーヒーをたくさん飲めばいい?」と考えがちですがそれはオススメできません。コーヒーに含まれるカフェインを摂りすぎれば急性中毒になる場合があり危険だからです。

クロロゲン酸類を高含有する食品を開発するためには、カフェインを除去する必要があります。

 カフェインの構造式

クロロゲン酸類とカフェインを分離させるのは、研究室で行うならば難しくありません。HPLCで分けちゃえばいいからです。ですが、工業的にはHPLCではない大量に効率よく分離させる方法が必要です。

そこで発明者は、生コーヒー豆抽出物に有機溶媒と水を加えて活性炭や活性白土、酸性白土に接触させてカフェインを吸着させる方法を見出しました。有機溶媒を適切な比率で混ぜるのがポイントです。単に活性炭などに接触させるだけではカフェインだけでなくクロロゲン酸も吸着されてしまいます。溶媒を替えて吸着率を変化させる、という発想は昔からある正攻法ですが、工業的には単純な方法ほど効率が良いことが多く、優れた方法と言えます。

 

この製造方法で、クロロゲン酸類を高濃度で含みながら、カフェインが少ない抽出物を得ることができます。

しかし、これでもまだヘルシアコーヒーは開発できません。クロロゲン酸類の中には、強い苦味を持つものがあり、上記の抽出物を使用すると苦味が強い飲料になってしまう場合があります。どうすればよいのでしょうか?

 クロロゲン酸の構造式

次回はクロロゲン酸類含有物の苦味を低減する方法に関する特許を紹介します。

 

【特許番号】

P4951109

【名称】

脱カフェインされた生コーヒー豆抽出物の製造方法

【特許権者】

花王株式会社

【課題】

カフェイン含有生コーヒー豆抽出物中のカフェインを、クロロゲン酸類の組成を著しく変化させることなく、選択的に除去し、かつ色相及び風味の良好なコーヒー豆抽出物を得る方法を提供する

【請求項】

固形分中にクロロゲン酸類を25~60質量%含有するカフェイン含有生コーヒー豆抽出物を、有機溶媒と水の質量比が8/2~5/5の混合溶液に溶解させ、活性炭及び/又は活性白土もしくは酸性白土と接触させる、脱カフェインされた生コーヒー豆抽出物の製造方法。