DSM ビタミンAが強化された疑似米
ビタミンAなどが添加された疑似米の製造方法についての特許です。
米を使ってビタミン入りのリゾーニを作る、というようなものです。
アフリカなどの貧困国では、ビタミンA不足により眼球が乾燥して失明する子供が多くいます。ビタミンAは動物の内臓や肉、緑黄色野菜に多く含まれています。貧困国で、肉や魚を十分に食べることができないことがビタミンA不足の原因と言えます。さらに、アフリカ諸国ではしばしば緑色の濃い葉物野菜を食べることが嫌われます。これもビタミンA不足の一因です。
そこで、ゴールデンライス*1など、普段食べる食物にビタミンAが含まれるようにする取り組みが、国際的に行われています。
日本でもビタミンやミネラルの強化米が売られています。米粒の周りに、ビタミンなどの栄養素を乳化剤などと共にをコーティングしたものです。
発明者は、破砕米や米粉と水を加熱した餅状の生地を作り、これにビタミンAなどの栄養素を添加し、米粒状の形に成形して乾燥させました。栄養素が粒の内部に入っているので、洗っても落ちないという利点があります。
日本で疑似米といえば、大塚食品のマンナンヒカリなどコンニャク粉の入ったカロリーオフのものが一般的です。こうした疑似米にビタミンなどを強化した製品を開発する際には、特許侵害を回避できるかを考える必要があります。
【特許番号】
P5013874
【名称】
米をベースとする食品組成物およびその調製方法
【特許権者】
①ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.www.dsm.com
②ビューラー アーゲー www.buhlergroup.com
【課題】
微量栄養素強化米を提供する
【請求項】
天然米粒に類似した形状を有する再構成米粒を製造する方法であって、
(A)砕け米マトリックス材料が得られるように米および/または砕け米を粉砕する工程と、
(B)水および水蒸気の両方の存在下においてこの砕け米マトリックス材料を熱水的機械的処理にかけ、この砕け米マトリックス材料の少なくとも部分的な糊化を引き起こすべくこの物質に剪断を加えながらこの砕け米マトリックス材料を混合する工程と、
(C)天然米粒に類似しているかまたはほぼ等しい形状を有する粒子が生成されるようにプレスして分割することによりこの少なくとも部分的に糊化された砕け米マトリックス材料を成形する工程と、
(D)これらの粒子を乾燥させる工程と、
を含み、
工程(B)が、2つの部分工程、すなわち、
70℃~100℃の範囲内の温度、15重量%~35重量%の含水率、および10秒間~10分間のプレコンディショナー中滞留時間におけるプレコンディショナーによる第1の部分工程(B1)と、
15~35重量%の含水率および10秒間~90秒間の滞留時間における押出機による第2の部分工程(B2)と、
を含む、方法。
*1:遺伝子組み換え技術で品種改良された、ビタミンAを含有した米。これらビタミンにより、精白米が黄色く色づいていることからゴールデンライスと呼ばれる。