食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

花王 ヘスペリジン入りの血圧降下作用のある減塩醤油

 フラボノイド類を使用した減塩醤油についての特許です。このフラボノイドには、血圧降下作用、塩味の持続増強作用があるそうです。

花王でフラボノイド、といえばカテキンを使用したヘルシアが連想されますが、この特許ではヘスペリジンのグルコース付加物を使用しています。ヘスペリジンはみかんの皮に多く含まれるフラボノイドで、ビタミンPと呼ばれることもあります。みかんの皮は、加工用みかんの副産物として大量に安価に入手できます。ヘスペリジンが健康に良いことを発見すれば、ビジネスとして大儲けできる可能性があります。花王は、ヘスペリジンのグルコース付加物に血圧降下作用があることを発見しています。

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発明者はこのヘスペリジンのグルコース付加物を減塩醤油に入れました。すると、減塩醤油の塩味を持続増強したと述べています。フラボノイドはカテキンに代表されるように苦い味がすることが多く、ヘスペリジンも苦いようです。ある種の苦味物質を加えると、塩味を持続増強することは他にも例があります。よって、ヘスペリジンのグルコース付加物に塩味の持続増強作用があっても不思議ではありません。

 

この特許で面白いところは、商品開発の発想です。「減塩が必要な人」=「血圧が高い人」という場合が多いです。減塩したくても、醤油なしの食生活は日本人にとって大変です。そういう人が『血圧が高めの方に』トクホが付いてる減塩醤油を見つけたら、喜んで買ってしまうのではないでしょうか?

健康機能成分を見つけても、どのような食品に入れるか、というのは重要な事項です。減塩醤油にヘスペリジンを入れる、というのは興味深い用途です。

  

花王ヘルシア、エコナの体脂肪トクホで食品市場に参入しています。花王は、この特許に見るように減塩食品市場への参入を検討していると思われます。減塩食品市場は世界的に大きく成長する市場と言われており、世界中の食品会社が研究を進めています。花王は得意のフラボノイドで減塩市場を攻略できるのでしょうか?

 

【特許番号】

P5014669

【名称】

容器詰め液体調味料

【特許権者】

花王株式会社

【課題】

有用な生理効果を有するフラボノイド類を含有しつつ、食品の色調変化が抑制され、フラボノイド類由来の異味が抑制されて風味良好で、塩味の持続性増強作用を有することにより食塩量の低減が可能で、しかも血圧降下作用等の有用な生理機能を有することができる容器詰め液体調味料を提供する

【請求項】

 次の(A)、(B)及び(C)、を含有する容器詰め液体調味料であって、(B)フラボノイド類が、ヘスペリジンのグルコース付加物である容器詰め液体調味料。

(A)ナトリウム 2.2~5.1質量%

(B)フラボノイド類 0.1~1.5質量%

(C)エタノール 3~5質量%未満