大塚製薬 大豆胚軸を発酵させる
大豆の胚軸を発酵させてエクオールを造る方法についての特許です。
大豆の胚軸はイソフラボンを多く含みますが、苦味やえぐみが強く、通常は廃棄されます。このような未利用物の利用法を開発する研究は、多種多様に行われています。大塚製薬はソイジョイに代表されるように、大豆素材に注力しているようです。この特許はその一環と言えます。
大豆イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンに似た作用をするとして、更年期障害向けなど多くの健康食品に使われています。大豆イソフラボンというのは、共通の構造をもった化合物の総称です。近年、それら大豆イソフラボンの中で女性ホルモン様の作用をするのは、エクオールという化合物だと示唆されています。エクオールは、大豆イソフラボンの一種ダイゼイン類を腸内細菌が代謝して産生されます。ところが、ダイゼイン類からエクオールを産生する腸内細菌を持っている日本人は50%程度であるそうです。エクオール非産生の人は大豆イソフラボンを摂取しても、女性ホルモン様の作用を期待することはできないことになります。
そこで、発明者は大豆の胚軸をエクオール産生能を持った乳酸菌(Lactococcus garvieae)を使って発酵させて、エクオールを含む発酵物を得ています。エクオールを直接とれば、腸内細菌の有無にかかわらず女性ホルモン様の作用を期待できる、というわけです。
大豆イソフラボンのように「摂取する人の腸内細菌の有無によって効き目に差が出る」という視点は、健康食品の研究開発において重要と思われます。
【特許番号】
P5030790
【名称】
エクオール含有大豆胚軸発酵物、及びその製造方法
【特許権者】
大塚製薬株式会社
【課題】
エクオールを含有し、食品素材、医薬品素材、又は化粧品素材等として有用な大豆胚軸発酵物を提供する
エクオールを含有する大豆胚軸発酵物を製造する方法を提供する
【請求項】
①大豆胚軸を、ダイゼイン配糖体、ダイゼイン、及びジヒドロダイゼインよりなる群から選択される少なくとも1種のダイゼイン類を資化してエクオールを産生する能力を有するラクトコッカス・ガルビエで、発酵させて得られる、エクオール含有大豆胚軸発酵物。
②大豆胚軸を、ダイゼイン配糖体、ダイゼイン、及びジヒドロダイゼインよりなる群から選択される少なくとも1種のダイゼイン類を資化してエクオールを産生する能力を有するラクトコッカス・ガルビエで発酵処理することを特徴とする、エクオール含有大豆胚軸発酵物の製造方法。