食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

ニッスイ カツオ煮汁の加水分解物で減塩する

たんぱく加水分解物を使用して塩味を増強する方法に関する特許です。

たんぱく加水分解物は、たんぱく質に酵素や酸を作用させて分解し、アミノ酸にしたものです。アミノ酸には、旨味、甘味、苦味、エグ味などを持つものがあります。アミノ酸の混合物であるたんぱく加水分解物は、グルタミン酸ナトリウムや核酸よりも複雑な旨味を持っています。たんぱく加水分解物の味と言ってもピンと来ないかもしれませんが、都昆布の酸味以外の味や、ハッピーターンの粉の味がまさにコレです。多くの食品に欠かせない原料となっています。

減塩は、ビジネスとして伸びる可能性が非常に高いので、ネスレなど世界的な食品メーカーもこぞって研究している分野です。様々な減塩方法が各社に特許化されています。この特許は、旨味で塩味を増強しようというものです。出汁を使った減塩法は一般的であり、たん白加水分解物を使用して減塩する、という発想は真新しいものではありません。

本文献ではカツオの煮汁に含まれるたんぱく質を酵素分解したものを使用しています。特許権者はニッスイなので、同社がタイでツナ缶を製造する際の副産物を有効活用しよう、という一環で取得された特許なのだと思います。研究開発の現場では特許取得がプロジェクトの成果として求められる場合がありますので、そのような情景が目に浮かんできます。*1

 

このように人情も読み取ることができるので、特許文献は面白いのです。

 

【特許番号】

P5057492

【名称】

塩味増強剤及びそれを含有する飲食品

【特許権者】

日本水産株式会社

【課題】

飲食品において食塩を減らすことによる塩味の弱さや物足りなさを補うための塩味増強剤、それを用いた塩味の増強方法、及びそれらを含有する飲食品を提供する

【請求項】

①畜肉類、家禽類、及び魚類のいずれかの肉又は内臓である動物蛋白質の蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を1.76%以上含むように分解された分解物、及び大豆蛋白質の蛋白加水分解酵素による酵素分解物であって、アミノ態窒素を2.07%以上含むように分解された分解物を1:3~3:1の比率で含有する塩味増強剤、但し、ビタミンは添加されていない。

②食塩を含有する食品に畜肉類、家禽類、及び魚類のいずれかの肉又は内臓である動物蛋白質の蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を1.76%以上含むように分解された分解物、及び大豆蛋白質の蛋白加水分解酵素による分解物であって、アミノ態窒素を2.07%以上含むように分解された分解物を1:3~3:1の比率で含有させ、さらにアルギニンを含有させることを特徴とする塩味の増強方法。

*1:@中の人 違ってたらすいません。。