奥野製薬工業 ビタミン臭の低減
ビタミンB1が持つ特有のビタミン臭の低減方法に関する特許です。
ビタミン剤、栄養ドリンクなどビタミンを多く含む食品には、独特なビタミン臭があります。その主な原因物質はビタミンB1の分解物ビス(2-メチル-3-フリル)ジスルフィドと言われています。
ビタミン臭を低減するためには、ビタミンB1が分解しないようにする、ビタミン臭をマスキングする、といった方法が考えられます。
ビタミンB1は分解しやすく、またビス(2-メチル-3-フリル)ジスルフィドはごく少量で臭いを感じます。よってビタミン臭を低減するためには、分解の抑制とマスキングの両方を行う必要があると言えます。
本文献では、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、卵黄粉末がビタミン臭の低減に有効とのことです。脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルには独特の石鹸の様な臭いがあり、卵黄粉末は卵黄特有の硫黄臭があります。これがマスキングに効いているのではないでしょうか?ビス(2-メチル-3-フリル)ジスルフィドは硫黄を含む化合物なので、卵黄の硫黄臭でのマスキングは十分想像できる効果です。
ところで、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルは食品にしばしば用いられる添加物です。特に脂肪酸エステルは幅広い食品に使用されますので、この特許は多くの食品に影響を及ぼします。とはいえ、侵害を回避するのはそれほど難しくないと思われます。
【特許番号】
P5061294
【名称】
ビタミン製剤
【特許権者】
奥野製薬工業株式会社
【課題】
独特のビタミン臭が少なく、製品中に均一に混合(分散)することができ、安定性に優れたビタミン製剤を提供する
【請求項】
①チアミンラウリル硫酸塩の粉末と、脂肪酸またはその塩もしくはエステルの粉末とを、該チアミンラウリル硫酸塩100質量部に対して該脂肪酸またはその塩もしくはエステル50~200質量部で混合して得られる混合粉末を含む、抗菌剤。
②チアミンラウリル硫酸塩の粉末と、卵黄粉末とを、該チアミンラウリル硫酸塩100質量部に対して該卵黄に含まれる脂肪酸が50~200質量部となるように混合して得られる混合粉末を含む、抗菌剤。