食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

旭化成せんい ヒートシールしやすい不織布

 

麦茶のティーパック用などの抽出して使うための不織布の袋材に関する文献です。

 

食品の包材は、シール性、強度付与、酸素バリア、遮光など必要な条件を満たすため、複数の樹脂やアルミが多層に組み合わされています。

ティーバッグでは水は通すが、中身に含まれる微粉は通さないよう一般に不織布が使われます。この文献にあるスパンボンド法は不織布の製法の1つです。

スパンボンド法

本文献では2種類の繊維、①太めで熱で融けにくい繊維、②細目で熱で融けやすい繊維を使って不織布を作っています。中身を充填したのち、熱をかけて圧着すると②熱で融けやすいが融けてシールされます。ヒートシール法といい、食品を含め様々な包装に広く使われます。この際に、熱で溶ける層がシールバー*1に付くと、シールバーが汚れて綺麗に接着できなくなる場合があります。シールバーに黒く焦げた樹脂はこびりつくと取るのが大変で、効率よくシールする上でこびりついた樹脂の除去が課題になることがあります。

融けた樹脂がシールバーに漏れ出てくるの防ぐ為に、①融けない太い繊維が重要な様です。太さに違いがあるので、融けた樹脂が毛細管現象で繊維にとどまるものと考えられます。

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一見すると簡単な作りの麦茶のパックでもモノづくりの知恵が詰まっているのです。

【特許番号】

P5064898

【名称】

食品向けフィルター及びそれを用いた食品封入袋体

【特許権者】

旭化成せんい株式会社

【課題】

製袋加工時にシールバーに低融点樹脂の染み出しがなく、粉末状物や細かい粒子状物などにおいても粉漏れが少なく、かつ、ヒートシール時のホットタック性、成分抽出性に優れた食品向けフィルター及び、その袋体を提供する

【請求項】

スパンボンド法により、スパンボンド用紡糸口金から紡糸し捕集することにより得た平均繊維径が12~30μmのポリエステル系長繊維の層(A)と、同じくスパンボンド法により、スパンボンド用の2成分紡糸口金から紡糸し捕集することにより得た、該(A)層の融点より30℃~150℃低い融点の鞘をもつ、平均繊維径が10~20μmの芯がポリエチレンテレフタレート、鞘が共重合ポリエステルからなる鞘芯型複合長繊維の層(B)とを、積層して、熱圧着面積率5~30%で熱圧着して一体化した積層不織布からなる食品向けフィルターであって、該積層不織布の目付が10~50g/m2、粉漏れ率が10%以下、120~200℃の温度範囲においてホットタック強力が1N/25mm以上、前記(B)層同士を120~230℃の温度範囲において熱シールした場合のシール強度は、3~50N/25mmであることを特徴とする前記フィルター。

*1:圧着するための加熱された棒。アイロンをギュッと押しつけているようなイメージです。