食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

広島県 肉をやわらかくする やわらか酵素

真空調理は今やレストラン業界では当たり前の調理法です。ビニールのパックに肉などの素材を調味料とともに入れ、専用の装置で減圧して真空パックにします。この真空パック状態で保存、調理することで中心部まで風味を付けたり、肉などを柔らかくすることができます。

本文献では、減圧→常圧に戻すことでプロテアーゼを肉に浸透させることで、肉の外観を保ったまま中心部まで柔らかくしています。また旨味も増すようです。

ポイントは次の4つです。

①肉の繊維を断ち切る方向に切ることで、調味液が浸み込みやすくする。

②プロテアーゼを含んだ調味液を加えて減圧することで、プロテアーゼが浸み込む隙間をつくる。

③常圧に戻して調味液を浸み込ませる。

④冷蔵庫で保管することで、プロテアーゼをゆっくり働かせて肉を柔らかくする。

 (常温短時間で処理すると苦味が出る、とのこと)

 

レストランの調理法を科学的にとらえて明らかにしている点で面白いと思いました。

 真空シーラーが我が家にも欲しいなぁ。

【特許番号】

P5093658

【名称】

熟成食品の製造方法

【特許権者】

広島県

【課題】

タンパク質分解物であるアミノ酸やペプチドを豊富に含有し、消化吸収性を向上させることができ、咀嚼・嚥下が困難な高齢者、消化器疾患者であっても、摂取する食品が何であるかを認識し満足感をもって摂取することができる熟成食品を提供する。

【請求項】

繊維の長軸方向と異なる方向に切断した動物性食品素材の表面に分解酵素を接触させる工程、動物性食品素材の表面の分解酵素を圧力処理により動物性食品素材の内部に均一に含有させる分解酵素導入工程、分解酵素の作用により動物性食品素材の形状を保持したまま動物性食品素材に含まれる酵素基質を分解させる熟成工程を含む熟成食品の製造方法であって、分解酵素導入工程が、動物性食品素材を減圧処理により形状を保持した状態で膨張させる膨張工程と、膨張した動物性食品素材を元の動物性食品素材の体積より小さい体積に圧縮させる圧縮工程とを有し、前記膨張工程において、動物性食品素材内の水が沸騰する圧力以下又は0.04MPa以下の減圧処理により、動物性食品素材を元の体積に対し1.05倍以上の体積に膨張させ、前記熟成工程において、分解酵素の作用により筋繊維間の結合組織タンパク質を分解させ、動物性食品素材の弾力性を低下させることを特徴とする熟成食品の製造方法。