食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

ニッスイ 唐辛子でダイエットに成功したブリ

養殖ブリに唐辛子を食べさせることで、体脂肪を減らすことができる養殖方法に関する特許です。写真のブリはニッスイが養殖している黒瀬ブリです。

 

魚にはマグロのような赤身、タイのような白身があります。では、ブリは赤身でしょうか?白身でしょうか?
これはなかなか難しい問題です。天然のブリの身は赤く、養殖ブリでは白くなります。
なぜでしょうか?原因は次の2つです。


1)養殖ブリでは運動量がすくないため、筋肉中の赤い色素ミオグロビンの量が少ない。
2)養殖ブリでは餌をたくさん食べているため、脂肪がたっぷりついて白くなる。

この違いを知っていれば、養殖ブリと天然ブリの切り身を見分けることができます。

外観だけでなく、養殖と天然で味わいも異なります。養殖ブリでは脂の味が強く、また餌由来と思われる特有のにおいがあります。
養殖ブリの脂っぽさが好まれる場合もありますが、脂が乗りすぎていることが敬遠される場合もあります。ですから、養殖業者は売価を高くするために、生簀の大きさや設置する場所、餌の量や種類など様々な努力をしているのです。

発明者は、出荷の近い大きく育った養殖ブリの餌にトウガラシを入れました。すると、ブリの体脂肪を減らることができる、という発見しました。体脂肪が減ったのは、唐辛子の辛味成分であるカプサイシンが作用しているものと推測されます。

人間だけでなく養殖魚もダイエット食品を食べている、という事実はなかなか面白いものです。人間用の機能素材を別の動物に用途を広げる、逆に動物用の機能素材を人間用に用途を広げる、という発想で面白いものが開発できるかもしれません。視野を広く持ちたいものです。


【特許番号】
P3895133
【名称】
養殖魚の肉質改善法
特許権者】
日本水産株式会社
【課題】
養殖魚は必要以上に脂がのりすぎていることが食味を落としている一因とされている。
また、養殖魚は天然魚と比較して腹腔に多量の脂肪を蓄積しているため、体重に対する内臓の重量比が高く可食部の歩留まりが低い。
【請求項】
養殖魚ブリに養殖魚ブリが摂取する飼料量100重量部につき0.1重量部の量のカプサイシンを主成分とするトウガラシよりなる肉質改善剤を与えることを特徴とする養殖魚ブリの肉質を適度な脂ののりの肉質に改善する方法。
本発明は、これら養殖魚の問題点を解決し、適度に脂がのった肉質に改善し、しかも可食部の歩留まりを高くする養殖魚の肉質改善法を提供するものである。