食品特許を読みあさろう

食品関連の特許をアレコレ読んで紹介します

不二製油 口当たりの良いデニッシュを焼くためのマーガリン

最近のコンビニのパンってどんどん美味しくなってます。それは陰で製パンメーカー、製パン材料メーカーが良いものを作っているからでもあります。

ロールイン用油脂というのは、多層になるベーカリー(パイ、クロワッサン、デニッシュなど)に折り込んだり、練りこんだりするためのマーガリンです。融点、SFCが絶妙に調整されているので上手に層を作ることができます。家庭向けも売られています。

手作りで作る際はバターを使うことが多いと思いますが、デカイ工場で生産効率や保存性を向上させるためにはバターは不適です。厳密な温度管理が必要で、日持ちしにくいからです。また、供給が安定せず、値段が高いというのも理由です。美味しいんですけどね。

本文献ではSFCをいい感じに調整し、油脂結晶の成長を抑制する乳化剤を配合することで口当たりがよくジューシーなパンが得られる製パン用マーガリンが作れる、と述べています。課題を解決する方法としては、奇抜なものはなく正攻法です。やりつくされているような分野で、試作を重ねて作り上げたことが伺い知れます。

【特許番号】

P5076898

【名称】

ロールイン用油中水系乳化組成物

【特許権者】

不二製油株式会社

【課題】

パイ、デニッシュペストリーなどの層状膨化小麦粉食品を製造する際に用いられるロールイン用油中水型乳化組成物であって、作業性に優れ、発酵の温度を低くするなど製造効率を減ずることなく美しい内層の焼成品が得られ、且つ、口当たりの良いジューシー感を呈することができるロールイン用油中水型乳化組成物を提供する

HLBと乳化の型

【請求項】

油中水型乳化組成物を構成する油相の融点が33~40℃の範囲であり、油相の油脂原料が菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油の動物性油脂の混合油或いはそれらの硬化、分別、エステル交換を施した加工油脂であり、且つ油相の油脂原料のSFCが10℃で30~70、20℃で10~45、30℃で2~25であり、当該油脂原料を60℃で60分置いた後、25℃に移し60分後のSFCを(A)、シュガーエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた1種以上であり、構成する全脂肪酸の25重量%以上がラウリン酸、エルカ酸から選ばれる1種又は2種を含有し、且つ平均エステル化度が30%以上である結晶調整剤を含有させた油脂原料を60℃で60分置いた後、25℃に移し60分後のSFCを(B)とした場合、(A)≧5、且つ(B)/(A)≦0.75となる結晶調整剤を含有するロールイン用油中水型乳化組成物。

Super Famicom JPN.jpg慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス

SFCってこういうことじゃないですよ、念のため。